Q. ただ、問題形式になっていることの弊害というか、読者の中には、このドリルの読み方を間違えてしまう人もいるかと思うのです。どういうことかというと、三択の中から答えを選んで「答えが合っていればそれでいいや」で終わっている人もいるかと思うのですが……。 A. 本書の中に取り上げている問題の中には「どれも正解」という答えもあるように、実は、考えようによっては、答えはいくらでもあるのです。すべての人の投資に対する姿勢によって変わってくるわけです。 ですから、このシリーズで重要なのは「解説なんだ」ということでやっています。答えだけ見てわかった気になって次の問題に行くという読み方はできれば避けてほしいですね。 問題数が多いですから、数をこなす中で引っかかるところも出てくると思います。そういう引っかかったところについては「ちょっと待てよ」ということで何回も読んでほしいです。最終的には全部読んでもらえればと思いますけどね。
A. そういうことだと思いますよ。あれだけ問題数があれば、自分にピンと来るような問題もけっこうあると思うんですよ。そういうところを取っ掛かりにして入ってもらいたいと思いますね。
A. 三択の形になっていることと、解説ですね。要するに、僕の考えの根幹になっている「タペストリー・プライスアクション理論(TPA理論)」に基づいてすべてを解説しているわけです。そういうきっちりとした根っこがあることが一番の特徴だと思っています。
A. タペストリー・プライスアクション理論は、タペストリー第一理論とタペストリー第二理論、プライスアクション理論という3つの要素から成り立っています。 このうちのひとつであるタペストリー第一理論とは「ポジションの保有期間が相場の方向を決定付けている」という考えです。 例えば、石油会社が外為銀行からドルを買ったとします。このとき、この1対1の出合いで双方は同じ値段で同じ量を、一方は買い、他方は売っているのですが、これだけで、この後相場が「どう動くか」がわかるものなのです。なぜなら、外為銀行は「ドルを買われてしまった」からです。 買い手である石油会社には、石油代金の支払い実需という切実な事情があるわけですから、どんな値段であろうとも買いにくるわけですね。そして、売るほうは、最初は単なるビジネス上のお付き合いだったのですが、ドルを買われてしまった(=売った)ことによって、外為銀行にも売った分をすぐにショートカバーしなければならないという切実な事情が生まれるのです。そして、買われてしまった分をどこからショートカバーするかといえば、別の外為銀行からします。ショートカバーされた外為銀行も、また別の外為銀行からショートカバーします。こういう動きが連鎖的に続きます。こういう状況ですと、ドルはずっと上がり続けるのです。 実は、石油会社は買ったドルをそのまま支払いに充てただけなのです。買い切りです。つまり、石油会社はドルを買いましたけど、そのドルは、今は石油メジャーや産油国が持っていて、ドルの経済圏に吸収された状態になっているわけです。 外為市場はどうかというと、ドルを買われてしまったので、そこに空白ができています。売ったほう(外為市場)はただショートカバーしただけですから、出合いがこの1件だけですと、今話したように、ショートカバーの連鎖で価格は永遠に上がり続けるのです。
今は貿易収支が一番大きいので例に挙げましたけど、正確には経常収支を見るのです。経常収支とは何かというと、貿易収支にサービスなどの貿易外収支、移転収支(海外子会社の利益などを日本の親会社に移転するもの)などを含めたものです。旅行者による外貨円貨の売り買いも含みます。これで“根っこ”のところで、円買い円売りの資金の流れが見えるわけです。
ですが、当局が外貨準備高という形で、経常収支の3分の1にあたる100兆円あまりを持っています。残り200兆円が根っこの、つまりコアの円高圧力として残っているわけです。これを資本収支とか、外貨預金とかで埋められないと、円高になります。
もちろん、金利差がある限り、キャリートレードもある一定期間保有していますが、外貨預金というのは、基本的には持ったら持ちっぱなしです。持ちっぱなし、つまりポジションの保有期間が長いのです。こういうものが本当の意味でのトレンドを決めています。これがタペストリー第一理論です。 保有されたほう、つまり買われてしまったほうはカバーしなければどうしようもないわけですから、必然的にそちらのほうに相場が動いてしまう、というわけです。
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