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最近の相場に関する書の進展には目を見張るものがある。これで絶対!という断言調 で、買いを煽るような愚劣な書が多い中で、パンローリングから出版される書物は、 実際に売買をする人間の立場から、真剣に相場を考えるものが多い。
羽根英樹氏の「サヤ取り入門」もそういう書の一つである。この本はタイトルの通 りにこれからサヤ取りという売買を始める人には最適な書といえる。実は私もサヤ取 りに興味を持ち、実際に売買を行ってみたことがあるが、サヤが思惑と逆に動き、損 失が拡がった時に慌てて、片玉にしてしまい、結局両裂きの形でかえって傷口を広げ た経験がある。その苦い経験以来、片張りにツナギを入れる売買を持ち技として、サ ヤ取りは行っていないが、サヤの重要性は実感しており、場帖とともにブロックだけ は毎日必ず記入している。
そんな人間からすると、本当にこの入門書がその時にあれば、ああした間違いは犯 さなかったであろうにと悔やまれる。当時は本当に林輝太郎先生の書くらいしか、サ ヤについての記述はなかった。それを思うとこの数年で・・・・と隔絶の感がある。 この本の素晴らしい所は、要領よくまとめていて、初心者にも非常にわかり易いとこ ろである。情報量もそう多くない事が初心者にとってはかえって望ましい事だし、具 体的な売買の記録をもって説明を加えている所もいい。
それともう一つは、あくまで実践者の立場から、どのような準備をしてどうすれば よいかを具体的に書いてある点である。場帖やブロックのつけ方から、勉強ノートや 注文の仕方に至るまで、慣れてしまえば何でもないことでも初心者にはまごついてし まうような細々したことを、実に丁寧に説明してある。これならば、今からすぐに実 行できそうと読者が思える所に、この書のよさがある。
しかし、だからといって次元の低い書ではない。大変参考になったのは第四章「リ スク管理とサヤ取りの手法」の箇所である。リスクマネージメント、資金管理の重要 性を相場の本質と捉え、逆張り順張りに対する考察にまで至っている点は、日々実際 にポジションを持つ者として、まさしくその通りと思わず膝を叩いてしまった。
また、サヤに対する分類と、明快な戦略は、相場というものの特性をしっかりと捉 えていて、片張り屋の私にも大変勉強になった。
まさしく「サヤ取りを始めるんだったら、この本を読んでみな」と自信を持って薦 められる一冊である。
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