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素晴らしきデフレの世界 インフレの正体とゼロ金利がもたらす新しい社会

著者はデフレ現象の中で生活しているのでインフレは起こっていないと主張しており、デフレこそが素晴らしい世界だと結論付けている。確かに著者のように所得も高く保有金融資産も豊富な人にとっては、少々の物の値段の上昇など痛くも痒くもない出来事であり、デフレの世界はまさにパラダイスであろうと思われる。

インフレについて、6つの事項を指摘しながら、インフレの測定方法の欠点や減価された過去の通貨の歴史や消費者の収益力が向上しているので財やサービスは安くなっているなどの主張を展開しているが…間違いではなく事実であることも多々あるが、しっくりこない内容ともなっている。

日本のバブル崩壊からスタートしたグローバル経済の利益を最大に享受した側の人たちにとっては、著者の主張は受け入れやすく、かつこの30年は居心地の良い生活環境であったと思われる。しかしながら、果たして日本人にとって、バブル崩壊後から続いているデフレ環境下で国民が幸せ(素晴らしき世界)であったかといえば、それもまた疑問である。社会保険料や消費税も上がっているので、実態的には日本はインフレではないのかと小生は思っています。もしも賃金が増えながら、社会保険料も下がり、消費税もゼロになる社会でモノの値段も上がらないデフレ環境であれば、日本人にとって素晴らしいデフレの世界ではないでしょうか。

やや小生は本書に対して懐疑的ではあるが、一方で世界のパワーバランス(米国の覇権衰退による反米諸国の台頭)の変化、安全保障体制、グローバル生産体制などの見直しにより、インフレが生活を直撃するようになれば、デフレは素晴らしいと感じるのではないでしょうか。「景気は気から」と同じく、自分自身の捉え方や感じ方によってインフレもデフレも素晴らしきものになるのではないでしょうか。

ただし、本書の良いところは過去の事例や多くの人のインフレに対するコメントや意見が掲載されており、様々な考え方を学ぶことができる書籍となっております。最後に本書より引用:アーネスト・ヘミングウェイ「運営に失敗した国家が用いる最初の万能薬は通貨インフレであり、第2は戦争である。両社とも一時的繁栄をもたらし、かつ永久的な破滅をもたらす。」 ロシアがウクライナへ侵攻した状況だからこそ、非常に重みのある一節だと感じております。≪本書の感想:記載日付2022年3月≫

三度の飯より相場好き 個人トレーダー 投資歴:26年


この本は、統計的なデータを用いタイトルの通りデフレに肯定的なことが書かれている。一方でこの本の良いところは、デフレの対局であるインフレについて非常に詳しく書かれている点である。特にインフレに対する中央銀行総裁や著名経済学者など多くの専門家のワンポイントの意見は非常に鋭く明快である。全体にデフレとインフレを対比することで非常に理解が進む構成となっており、デフレ、インフレの経済局面において自分はどのように対処すればよいか非常に参考になる。

炎のディーラー 26年


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