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「心理学」となっているが、本書の内容は幅広いものである。既に出版されている 旧版との比較ではページが大幅に増えている。
株式投資においては、どの銘柄が上昇するのか、その銘柄そのものを挙げたり銘柄 の選択方法を示したりする内容のものがある。また、どのようなシステムや分析を行 えば利益があがるのかについて解説したものもある。一般的なテクニカル分析の紹介 といった内容のものは後者ということになる。
これに対して、本書の冒頭部分で強調されているのは、トレードする人間の心理的 要因の大きさや目標の設定、ポジジョンサイズの重要性などである。このアプローチ はそこらにある百害系の株本とは異なる。
実際、売買においては、適切な時期に適切な量たけ適切に買い、さらには適切な時 期に適切な量だけ売却しなければ大きな利益は望めない。強引に大きなポジジョンを 取り、それが当たれば、大きな利益が転がり込む可能性は当然ある。が、自分に合っ たルールを設定することなしに、そのような「ばくち」を続けていれば、いずれすべ てを失ってマーケットから退場しなくてはいけなくなる可能性が高いように思う。
いくら騰がる銘柄を当てたところで、それだけではなんの利益にもつながらない。 チャートのパターンをいくら覚え込んでもそれだけでは利益につながらない。また、 個々の売買での勝率がいくら高くても、それだけでは大きな利益にはつながらない。 むしろ、損失を生じる可能性もある。
重要な事は自己理解を深め、自分に合ったトレードシステムやルールを構築し、そ れに従ってトレードすることである。
本書を読めば、こうしたことが段々と深く理解されてくるように思われた。
本書の中で経済の予測的な内容の記述がある6章についてはあまり重要であるとは 思われなかった。読み物としては12章の「7人のトレーダー」についてのところ は、同じ銘柄について個々のトレーダーがどのような判断をして利益をあげたか、あ るいは損失を出したかが描かれており、興味深いものであった。
本書の詳細な内容のすべてを理解する必要があるとも思われないが、読み直しつつ 自分の考えをまとめなおしていくような読み方は有用だろう。
すでに一定の投資経験はあるが、なかなか成果につながらないような人にはすすめ られる。
(ふしみん、40代、公務員)
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