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投資家でも投機家でも、自分のビジネスプランを見直す度に何とも納得しかねるのがその税額、というよりその課税比率なのではないでしょうか。それに輪をかけてその根拠の稚拙さにうんざりするし、運用方法もとても先進国とは思えません。年金基金の運用損失分をどうして私たちが補填しなければならないのか。次は介護保険、医療保険と来て挙句、預金封鎖の確立もゼロではないとなれば、本書の主人公でなくとも嫌気がさします。
それもしょうがない、とあきらめたくはない!そんな方にこそ、この”Permanent Traveler”を選択肢の1つとして考えてみるために、一読をお勧めします。不公平で非合理的な制度に縛られているのは、単に現在の自分が日本に居住しているからであり、その呪縛から開放されたければ外国に移ればいい。それは、単純と言えば単純ですが、資産レベルや人生設計を考える上で日本にこだわるよりも自然な気がしてきました。また、終身旅行者と言ってもどこかには必ず国籍が存在しますし、固定したければすぐにそうすればいいだけのことです。登場人物たちを通して各様の考え方と実行方法が見られ、それは一見簡単そうなのです。
資産を1箇所に置かず分散するのが賢明というのと同様に、自身の環境リスクを分散しようという考え方を基にして、ビジネスを営む国、国籍を持つ国、住所を持つ国、資産を運用する国、余暇を過ごす国、あと寄付をする国を選ぶ。それらをすべて1つの国に絞るのも、個々に選定するのも自由ということです。その前にまず、十分に情報を集めて適否を分析し、試しに下調べに行ってみたり、シュミレーションや計画を立ててみる。そして自分で判断して、決める。投資対象とそのメリットを”国”単位で見ると言ったところでしょうか。
私自身、海外移住やタックスヘイブン、オフショアについてとても興味があり、いろいろ調べるうちにこの”Permanent Traveler”というアイデアを知りました。要するに、各国政府が当該人物を旅行者としてみなすよう事務的手続きを行なうにすぎないということです。そう判断されることによって権力のくびきから逃れ、税金・兵役はもとより、訴訟や迫害を回避することが可能になります。多くの国民、市民とは異なって、PTは信仰によって迫害されることもありません。本書には実践的な手続き事項などはなく、リスクについても取り上げられてはいませんが、概要とポイントを理解するには最も分かりやすく、安価です。まずは入門書としての活用が適しているでしょう。
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